PART2に続き今回は項目31~40の電験三種理論基礎説明
です。実際の電験三種問題も使い可能な限り途中式は
省略していません。
31.合成抵抗計算のコツ~H29年試験問題から
並列回路のこういう合成抵抗を求める時は電源から見て一番
遠い点から私は計算します。
残りの解き方も気になるでしょうから計算しました、尚R1に
流れる電子の向きは電流とは反対だから上から下です。
倍率A÷Bを最後に求める時は何も各A.Bを25とか30の完全な
状態にする必要はありません。A=5×6、B=5×6のままで比
較すれば分母と分子で5は消えるから即5/6とわかります。
なるべく、無駄な電卓使用をしないのがスムーズな計算の
コツです。_尚、Pt(WS)の消費電力は熱量にするとPt(J)です。
それに0.238を掛けるとカロリー、0.238Pt(cal)=Pt(J)
水1gを1℃温度を上げるのに必要な熱量は1(cal)、覚えて
おけば電気加熱の計算が上手にできます。_たとえば
1(KWH)=1000×3600(WS)=0.238×1000×3600(cal)≒860(kcal)
これが有名な電力量⇒熱量変換の根拠です。
32.LC回路に直流電圧をかけた時の変化
コイルに直流電圧をかけた瞬間には電流は流れない、定常状態
になれば通電可能となる。コンデンサーに直流電圧をかけた瞬
間は通電可能、定常状態になれば電流は流れない、下の回路で
R1を通過する電流はSWを入れた瞬間のt=0でE÷(R1+R2)~定常
状態ではE÷R1となる。_難しい過度現象を理解できなくても
最低限このコイルとコンデンサーの特性は覚えておきましょう。
お馴染みの直流回路でSWを入れたら~ひっかけ問題対策!
電験三種回路計算は原則、定常状態を問ますが厳密には電源
を入れたt=0に発生する極短時間の過渡状態があります。ただ
この分野を真に理解するには微積分が必要となります。
直流電源回路でコンデンサーやコイルがありSW~という
問題の答えは驚くほど簡単なケースが多い、ただそうい
う特性を知らないと人には難問ですね。
33.単位について
1.電流ならA、電圧ならVですが、正式に記載する場合は
10Aではなく10(A)と単位には()をつけて記載すべき。
2.身近にある比熱の単位は(Kcal/kg℃)ですがこれは1kgを
1℃上げるのに必要な熱量という意味です、単位を見れば
どうやってそれを求めるのかわかる場合もあります。
磁束密度とかB(T)とかでは知らないと何の事かわからない
ケースもありはします。_たとえば空調機で外気導入量が
5000(㎥/H)で猛暑時期に毎日1時間35℃の空気をCUTした
らどの位の熱量を削減できるか=熱源負荷低減の意味。
空気の比重は1.2(Kg/㎥)、空気の比熱が0.24(Kcal/Kg・℃)
削減空気量が5000(㎥/H)、温度が35(℃)ならばすべてを
掛けると削減熱量(Kcal/H)となります、この場合は単位
をすべてかければその意味がわかります。逆に言えば
単位の掛け算で(Kcal/H)とならないならその計算方法は
間違えています。_更に1(KWH)は860(KWH)ですからその
1時間の削減熱量を860で割れば電気量にも変換できます。
ビルとかの省エネ計算の基本がこれです。
空調ダクト内の空気量を知るにはどうしたらいいでしょ
うか?それには通常試験測定用の孔があるのでそこから
風速(m/s)が測定できます、(風速を測定する機器なら空
気環境測定をするのでどこの現場でもあります)_それに
ダクトの断面積(㎡)を掛けると単位はm/sと㎡の掛け算
で㎥/sとなりこれが風量です。私は今のお仕事に就いて
そういう実務を知り、自らも行い単位の重要性を強く感
じました。_電験三種という単に試験に受かるだけの目
的ではそれほど単位に魅力を感じないかもしれませんが
将来技術者になる方は単位の重要性を意識してください。
もちろん試験においても単位の意味を感じながら勉強
すると確実な理解に近づくのは言うまでもありません。
34.ブリッジ回路はたいてい平衡している!
見た瞬間にブリッジ回路の平衡条件を知っているかを
問う問題とわかります、電験三種でこれが出る時まず
平衡しています。_かなり昔平衡してないケースの問
題が出題された事があるのでその場合の解法はNO.51
で説明しました。
この回路の平衡条件をまず作成します。これさえできる
ならこの問題は正解した様な物です。
35.tanθを使いこなせ
電流の複素数式、ここから力率を求めます、この問題はtanθ
から直接公式でCosθを求めた方が楽です。(複素数式の虚数
部を実数部で割るとtan値)
36.半径1cmの円の断面積(㎡)を求められるか?
磁気回路、電線の電気抵抗計算では円の断面積Sが必要です。
半径r又は直径dをcmやmmで数法が与えられた場合は㎡に変換
にしてから計算を行います。今一度確認してください。
37.三相交流の問題は1相だけで考える
負荷抵抗がすべて異なる不平衡三相負荷の計算問題は電験
三種では出題されないからです、ただ全体の電力だけは
1相分を3倍する事だけはお忘れなく!
38.電流とは抵抗の低い側を選択して流れる
何も抵抗がないなら完全に0Ωです、分流成分はすべて0Ω側
に流れるのです。_SWを切替えたら~問題で受験者が翻弄さ
れる一つです。
39.計算問題の未知数を解くとは?
左の式のままR1とR2が未知数のままでは何もできません。
違う条件でR1かR2を先に求める事、又は違う条件を使い
R1とR2の未知数の式を別に作成し、比較の上で連立方程
式でR1とR2を求める、1個の式に1個の未知数であって
答えは求められるのです。
40.式は自由に変更しても構いません!
有効電力も変更の結果、こんなスタイルになりますが得
られる答えは同じです、今の条件では答えを求めのが難
い場合は式の変更も考えましょう、突破口が見えるかも
しれません。
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★直近3年間電磁気、静電容量関係の問題★
絶対に暗記すべき文章問題
B-H曲線の問題は昔から重要項目ですがH29.R1年度で出題され
たので両方載せますから、これはそのまま暗記しましょう。
H29年度電験三種問4
正解5番
R1年度電験三種問3
正解2番
H29年度電験三種問2
接続前のエネルギーの総和W1、電界の強さは題意よりすべて同一
コンデンサーに蓄えられるエネルギー公式をV=Edを代入して変形
各コンデンサーの間隔dと面積Aの違いをよく確認しながらC=εA/d
の公式から各静電容量を作成、各電圧はedにしてるが間隔が違う
ので注意する、この問題は高度な数学ではないけど細かい注意が
必要で苦手な方が多いと思います。
接続後の並列合成静電容量はすべて加算、各コンデンサーの電荷
を上で求めた値を利用して総計する、静電容量と電荷が判明した
のでエネルギー式を変形し代入し、接続後のエネルギー総和W2を
求める。
接続前W1と接続跡W2のエネルギーを比較した下が答え、こういう
問題が問2当たりに来るとキツいですね。こういう時間がかかる
問題は最後にしましょう、時間をかけて正解してもA問題だから
どうせ5点、もし結局解けないで時間だけ浪費したら最悪です。
私ならそうします。ただ練習問題としては実力をつけるには良
い問題ですから今は挑戦されてください。
H30年度電験三種問3
この問題は上の基本問題2と類似しています、ただ今回は磁気
ですが考え方はまったく同じなので、基本問題2の解説を見て
ください、こういう問題って昔も今も出題パターンは変わらな
いのだなと思いました。
R1年度電験三種問3
図の様に2個のコイルを配置して電流を流した時のインダクタンス
はL1+L2±2KMとなる、Mは相互インダクタンス、Kは結合係数という
2個のコイル電流の向きが同じならL1+L2-2KM、違うならL1+L2+2KM
M=√L1L1の知識があるかがこの問題のポイントです。計算の流れは
わかると思います。
R1年度電験三種問4
電験三種参考書、問題集では必ずあるこの類の問題
こういうのが試験で出題されたら嬉しいです。
磁束密度を変形してμの項目ある式にすればいい!そうなると
磁気抵抗が絡めばに気がつけばこんな変形になります。
この問題ではLの長さが与えられているが自分で求める
必要があるケースもあり、その場合はLとはどの部分の
長さかわかっているか?円周を求められるかCHECKの事。
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